リンパ浮腫

リンパ浮腫って?

体の中には、血管と一緒にリンパ管というものが張り巡らされています。
リンパ管とは…老廃物を運びます。このリンパ管は排水管のような役割があり、リンパ管がつまったり、狭くなったりして障害を引き起こすと、皮膚組織のある部分に体液がたまって『むくみ』となります。


どんな人がリンパ浮腫になるの?

乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がんなどの患者さんが発症しやすいです。
また、リンパ管の炎症、腫瘍の湿潤、手術によるリンパ節の切除などのため、リンパ管が閉塞して、リンパ浮腫がおこります。
また、単独で、もしくは手術や化学療法との併用で放射線療法が行われた人にもおこる可能性はあります。
手術してすぐに発症する人もいますが、10年以上たって発症する人もいます。
また、先天性の人や原因不明の人もいます。


どんな場所が浮腫になるの?

乳がん治療では腕に、婦人科系のがんや、前立腺がんなどの治療では、脚や下腹がまた、外陰部にまで起きることがあります。
右乳がん手術後には、右腕、左乳がん手術後には、左腕などにむくみがでます。
両側乳がん手術後でも、片腕にむくみがでることもあります。
腹部の手術後でも(婦人科系、前立腺、リンパ郭清など)には片脚にむくみがでる場合が多いのですが、両脚にでたり、下腹部、外陰部にでることもあります。

リンパ浮腫・症例1 リンパ浮腫・症例2 リンパ浮腫・症例3

リンパ浮腫が起こったら

リンパ浮腫の治療の目的は…

1.むくみを軽減して日常生活に支障のない状態に近つけること。
2.現状の状態をそれ以上悪化させないこと(合併症を起こさないこと)
3.外見を目立たなくすること


複合的理学療法とは

1.医療徒手リンパドレナージ
一般には「リンパ誘導マッサージ」と呼ばれます。
患肢に滞ったリンパ液を最終的には静脈内に誘導するマッサージです。
2.圧迫療法
リンパ誘導マッサージによって改善された浮腫の状態を維持する、あるいはより改善するために、患肢に弾性包帯を巻いたり、弾性スリーブや弾性ストッキングを装用することで圧迫した状態を維持します。
3.圧迫した上での運動療法
患肢を圧迫した上で(この場合は弾性スリーブや弾性ストッキングの装用)、運動を行うことによって、筋肉ポンプの作用をより有効にして、リンパ液の流れをよくします。
4.感染予防のためのスキンケア
主に細菌感染を防ぐために患肢の清潔と保湿に気を配り、スキンケアに努めます。
もし水虫や皮膚炎、潰瘍などが生じていたら、その治療を行います。

早期治療で悪化と合併症を予防する

リンパ浮腫の悪化は、さらなるむくみで浮腫が巨大化するだけでなく皮膚の線維化や角化など二次的な変化を伴います。
また細菌感染などの合併症が起こった場合は、発赤や潰瘍などが生じやすくなります。


二次的変化は浮腫悪化のメッセージ

●線維症
浮腫が進行した状態です。
線維組織や脂肪組織が増えたために皮膚が硬くなって、むくみの部分を押してもへこまなくなります。
●象皮病
さらに浮腫が進行した状態です。皮膚が硬さを増して表面にひび割れができやすくなります。
炎症を繰り返すことによって皮膚が盛り上がって、象の皮膚のようになります。
●肉芽腫性変化
肉芽腫とは、単核食細胞の限局性集合のこと。
類上皮細胞、巨細胞、リンパ球、形質細胞などが浸潤している。

熱を伴う発赤は蜂窩織炎の可能性大

リンパ浮腫の大きな合併症として、蜂窩織炎があります。
リンパ浮腫の患肢は、リンパ液の循環が悪く、細菌感染などに対する抵抗力が弱くなっていると考えてよいでしょう。
そのため容易に炎症が起き、同時にむくみが悪化します。
患肢に蚊に刺されたようなボツボツの発疹ができたり、全体にベターッとした感じの赤みがさしたりします。
38℃以上の高熱や痛みを伴う場合もあります。
いったん蜂窩織炎を経験すると、体内に菌が残っていて繰り返し発症することが多いので、
まず蜂窩織炎にかからないように予防することが大切です。
蜂窩織炎の原因として、ケガによる細菌感染が挙げられます。
したがって、虫刺されや皮膚を傷つけないように注意します。
水虫が原因菌となることもありますので、水虫は治療し、特に爪の周囲の清潔を心がけます。薬用石鹸の使用も効果的です。
また、抵抗力が低下すると蜂窩織炎を発症しやすくなるので、規則正しい生活をし、体調を維持して疲れないようにすることも大切です。